9時50分頃になると店員が入り口まで現れ客を整列させる。
私は整理券を持ち店員に従い番号順に並ぼうとした、その時である!
なんとエナバルの一人が私の前に立ちはだかったのだ!!
小汚い赤いジャンパーを身にまとった中年だ。
まさか、私より早いナンバーを引き当てるとは・・・
奴は勝ち誇ったかのような表情を浮かべているかに思えた。
しかし、こればかりは時の運・・・仕方がないことである。
おそらく奴の狙いは私と同じであろう。
その瞬間エヴァンゲリオン約束の時レギュラー後711G(期待値およそ2400円)
を手中に収めるという私の夢は打ち砕かれたのである。
だが、幸い打てる台はもう一台ある。
期待値は少々下がるが私は気持ちを切り替え青ドン極みに狙いを変更した。
刻々と開店時刻が迫ってくる。
その時間まで3分ほどを切ったときであった。
驚くべき光景を目の当たりにした・・・
なんと!イヤホンをした中年が颯爽と私を横切り入り口に向かっていった。
もちろん、奴もハイエナ一味のメンバーだ!
一体なにを聴いているのだろう・・・アニソンか!?いや、そんなことはどうでもいい!
バカな!奴も私より早い番号を引き当てたというのか!!
呆然とする私を置き去りにするかのように時は過ぎていった・・・
いよいよ開店時間になるとぞくぞくと客が店の中へと入っていく。
そして私も店へ入ろうとしたその時、
目の前にいた赤ジャンが年甲斐もなく全力疾走でエスカレーターを駆け上がっていった。
人の目などお構いなしである。
そして茶羽のような赤いジャンパーをなびかせながら吸い込まれるように青ドンの島に消えていった。
私は念のためエヴァの島へ確認に行った。すると誰も座っていない。
まさかと思ったが案の定下皿には整理券と携帯電話が置いてある。
もちろんイヤホンのものだ。
そして当の本人はというと赤ジャンと戯れていた。
大方お互い台を取れた喜びを分かち合っているのだろう。
さっさと打ち始めればいいものを・・・全くいけ好かない連中だ。
私は絶望に打ちひしがれながら立ち尽くしていた。
しかし、もうここにいる必要はない、店を出ようと思った時だった。
何か不気味な気配を感じたのだ・・・
振り返るとイヤホンがこちらに向かってくるではないか!
貴様はこの島に何の用もないはずだ!何が目的だ!!
しかし、奴はなにをするわけでもなく私の後ろを通り過ぎていった。
その謎の行動を理解するのにそう時間はかからなかった・・・
奴は自分の台をキープしつつ私の動向を探りにきたのだ。
そして、私がなすすべがないということを悟るとあざ笑うかのように
薄気味悪い笑みを浮かべ自分の台へと戻っていった。
この男、まさに腐れ外道である。
究極の屈辱を受けた私は、
怒りに震えるそのこぶしをズボンのポケットに収め店をあとにした。
つづく